米国のイラク攻撃、日本はどうすべきか?

岡崎久彦

(「日朝交渉の五原則:「イラク攻撃」前に事を急ぐなかれ」『Voice』2002年11月号、48-61頁、より抜粋)

 日本がイラク攻撃にどう対応するかということですけれども、アメリカ国内とか、イギリスをはじめとするヨーロッパ各国の反対意見を聞いてみても、まず「サダム・フセインの政権がなくなって新しいイラクが誕生することはいいことだ」といってから、反対しているんです。いいことだけれども、方法に問題があるという言い方で、国連決議が必要であるとかないとか、そういう話しになってくる。つまり、アメリカがしようとすることとその結果について理解、支持しながら、手続きに反対なのです。

 手続きに関しては、日本にとってはとくに問題になります。9・11が起ったときに、NATOはすぐに集団的自衛権を行使するという声明を出しました。アメリカに対する攻撃は自分たちに対する攻撃と同じであるといって、すぐに兵隊を出したわけです。ところが、日本は細かい理屈をいろいろとつなげてテロ対策に限定した特別措置法をつくって、ようやくインド洋にまで自衛隊を派遣することができた。だからイラク攻撃となるとむずかしい。国連決議がないとか、テロとの関連がないとか、そういう細かいことを克服しないと、なかなか協力しにくいかたちになっています。

 ただ、それは日本側の勝手な事情によるものです。自ら集団的自衛権を認めないで手を縛っておいて、アメリカのいうとおりにはできないといっているのですから。できないことはしょうがないけれども、そういう国内事情について自らを責めないで、アメリカのやり方を責めるという惨めなことをしていると、日米の信頼関係に悪影響を及ぼします。

 だから、最低のラインとして「日本は経緯があってテロ特措法無理してつくったのであって、今回はどうにも動けない」ということをアメリカに理解してもらい、しかし、「アメリカの行動が正しいことを日本は同盟国として理解し、支持する」ということをいうぐらいの外交をすることが望ましい。ほんとうは集団的自衛権を行使することで解決するのがいちばんいいのですが、それができないなら、最低限として「同盟国としてアメリカと同じ認識のうえに立つ」といえるぐらいの外交ができる体制がほしいですね。


ホームへ