モニタリング・サービスとは、外国のラジオやテレビ、通信社電など公開された情報を24時間体制でモニターし、このなかから重要な情報を、即座に翻訳・編集して、ユーザーに報告するサービスです。また必要な情報は文書にまとめ定期的に提供します。
イギリスには政府交付金で運営されるBBCモニタリング・サービス(530名)、米国には国家予算で運営されるFBIS(1700名)、ドイツには国家予算で運営されるBPA(250名)と政府交付金で運営されるDWMS(70名)とがあります。ですから主要国にはおおむね政府所管の1機関が設置されていると言ってよいでしょう。
これに対し、ラヂオプレスは歴史的経緯から民間の財団で政府とは個別契約を結んでいますが、収入の3分の1は民間に情報を売ることで経営を成り立たせています。ラヂオプレスの職員は55名で、人員数はドイツの約5分の1、イギリスの10分の1となっています。
国家にとってのモニタリングの必要性はすでに事例を引いてのべましたから、ここでは簡単に記します。まず、24時間体制で緊急速報をおこなうので、国家の危機管理に貢献します。また、公開情報を継続し組織的に見ますから、いわゆる「見えない筋」が見えてまいります。さらに、モニタリング情報をもっていれば、他のソースがもたらす情報の真偽を効率的に確認できます。また、継続して観察していると、相手がどんな情報を削除しているかがわかります。そして、モニタリング情報は情報社会のいわばインフラです。膨大な情報から精選された最新情報を提供する信頼にたるモニタリング機関さえあれば、大学、マスコミ、官庁は分析に専念することができます。また、クーデターや戦争・紛争では放送局は重要な攻撃目標となるため、実効支配者が誰であり、どのような発表をしているかが把握されます。最近では、1989年の天安門事件では報道各社の回線は断絶され、外国への電話がかけられなくなったために、記者はおれども記事は送れずとなり、得られる情報は北京放送の受信を通じてだけになりました。このようなことは、いずれも欧米主要国ではよく認識されており、政府がモニタリング機関を設立し運営しております。
ラヂオプレスの予算(94年)は4.7億円で、わが国周辺の中国語、ロシア語、朝鮮語、英語(BBC)、日本語の5言語15ヵ国をカバーしています。一方,情報大国と言われるイギリスの予算は1840万ポンド(29.5億円)で38言語をカバーしています。さらにイギリスは米国と緊密に協力し、協力の結果ほぼ世界全部といってよい70言語145ヵ国をカバーしています。英米の機関はラヂオプレスとの業務内容が極めて近いのですが、情報交換や協力関係は残念ながら今のところは一切ありません。
ラヂオプレスがモニターする衛星放送は、現在は中国中央電視台とロシアの公共テレビの2局だけですが、これを将来増やしたり(イギリスは23局をモニターしています)、短波ラジオのモニタリングをたとえばイスラム圏に広げるなどすれば、英米の機関にもラヂオプレスと協力するメリットが生まれてくるかもしれません。
おわり