書評 『教養のすすめ』岡崎久彦著 青春出版社 

奥山 篤信 氏
(平河総合戦略研究所所長)


平河総合戦略研究所メルマガ 甦れ美しい日本 第019号

平成17年6月25日

僕たちが逆立ちしても、追いつかない人物勝海舟、西郷隆盛、福沢諭吉、陸奥宗光、 安岡正篤について、彼らが如何にして並外れた教養をつけたかについて、岡崎氏が、 自身の漢籍の教養を以て、尊敬と愛情をこめて書かれています。

現在、IT社会の中で僕たちは、簡単に世界中のあらゆる分野の情報を得られます。 つまり知識などは明治の頃と比べて格段にアクセスできるのです。しかし、そうだ としても、彼らが今僕たちの前に現われたとき、僕たちは彼らを圧倒できるでしょ うか。絶対にできません。僕たちの頭にある知識とかインターネットで拾える知識 などは、単なる手段であり、それを用いる人間が優れた知と徳と体を持ち合わせて いないと所詮薄っぺらなものに過ぎず、危機に対処できる大きな器にはなりえない ということです。

兎に角この人物たちの学ぶことに対する並はずれた集中力は、単に努力だけで達成 できない、もって生まれた才能といえます。あの明治維新にはこの人物に匹敵する 大人物が同時に全国で輩出したということは、まさに日本が植民地化されることな く今日を享受している奇蹟といえましょう。

戦後、自由平等という名のもとに,教育のレヴェルを最下位にあわせる(運動会の ゴールインを手をつないで行わしめるような)ことにより、いわゆる国家エリート が育たない環境が、逆に現在の政財官の体たらくとモラルの欠如を齎したといえま す。日本もあらゆる分野、特に国家を運営する政治家、官僚エリートを育てる教育 を考えねばならないと思います。

本物の大物は天賦の才能は当然ありますが、自分を磨き上げる筆舌に尽くしがたい 忍耐と克己とストイシズムがあったということです。

『終章あとがきにかえて』はとても感銘深い纏めであり、日本が誇るべき、こうい う偉人の姿を若い人に触れて欲しいという岡崎氏の強い願いがこもっています。

奥山 篤信 氏:
昭和45年京都大学工学部建築学科卒
昭和47年東京大学経済学部卒
三菱商事本社入社
一貫して海外畑 
6年余にわたる米国三菱ニューヨーク本店勤務を経て
平成12年退社 
コンサルタント会社ストラテジーズ設立 
勉強会『平河サロン』主宰
平河総合戦略研究所代表理事

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